理事長所信

山口青年会議所 第68代理事長 梅林威男

SHIFT “歴史を継ぎ、未来を拓く” 〜ともに創ろう!新しい時代を〜

はじめに

新型コロナウイルス感染症との共存は4年目を迎えます。長期に渡り、経済に大きな打撃を与えてきた新型コロナウイルス感染症ですが、完全収束の目途は立たず、いつしかゼロ・コロナではなくWithコロナを基本とした社会が確立し、Withコロナ時代を皮切りに私たちの暮らしに劇的な変化をもたらしました。

社会環境が劇変し、新たな常識(ニューノーマル)が定着しました。マスク着用やソーシャルディスタンス(社会的距離)の実施、巣ごもり消費やテレワークの常態化など、それまでとはまったく異なる生活習慣が多くの人々の「ニューノーマル」となることで、私たちはその変化に対応せざる得ない状況となりました。もちろん、私たち青年会議所活動においても大きな変化を実感しました。今まで考えられなかったオンライン例会、デジタルツールの導入。生き残るためには、常に社会の変化に合わせて業態を変化させなければなりません。

日本青年会議所の行動指針の変化にも同じことが言えます。戦後の混沌とした時代背景の中、1951年に日本青年会議所(日本JC)が設立され、今もなお存続していますが、それは社会への変化に合わせて行動指針を変化させてきたからです。日本の青年会議所の在り方を示したJC宣言文ですが、1970年に第一稿が作成されてから2020年で第四稿目となります。これは、青年会議所がその時代に対応するべき行動指針を改正してきたこと、つまりは変化に適合するべく行ってきたことだと解釈します。社会の変化に柔軟に対応することこそが、持続的に存続できる組織です。

少子高齢化と人口減少

2008年以降、日本国内において少子高齢化による人口減少時代が到来しました。山口市においても平成27年の197,422人をピークに減少が続き、今後も減少が続くと見込まれています。人手や生産量といった物量に頼るだけでは、まちの活力を維持することが困難な時代になっています。さらに2020年、新型コロナウイルス感染症により人の行動が制限され、このまちに訪れる人の数や機会が減少し、まちの活力が失われる要因となりました。まずは、コロナ禍の中で、活気が失われたまちに活力を与えていく必要があります。Withコロナにおける交流人口と関係人口の拡大でまちの活力を高めていくことが今後の重要な課題となることは間違いありません。

デジタル社会に対応

今までの価値観が変容し、新しい時代を迎えざるを得ない今だからこそ、このまちに本当に必要な本質を見極めなくてはなりません。「リモートワークを活用しよう」「デジタル化を加速させよう」今まで何となく従っていた価値観や固定概念を変革した新しい考え方が今まで以上に多くの人に共感を与えています。

テレワークやDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による新しい働き方は、感染拡大を防ぐ意味合いに加え、業務の生産性を高めることができます。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による業務時間や人的コストの削減や「ERP(基幹業務システム)による情報の一元管理とデータの可視化などにより、従来よりも効率性が見込めます。

近年の混沌とした社会背景が効率性を後押ししたことは間違いありませんが、私たち青年会議所にとっても喫緊の課題です。私たちは限られた時間のなか、家庭、仕事、青年会議所活動を両立し、それぞれに最大限の価値を与え続けなければなりません。

今後の社会において労働生産性を上げる必要性は変わらず、業務効率は今後さらに進展していくと予想されます。そのなかで3つのシフトを意識し実行していく必要があります。デジタルを活用をして働くスタイルを変える「デジタルワークシフト」、 デジタルワークを浸透させるために全メンバーのマインドを変える「マインドシフト」、従来とは違う技術を身に付ける「スキルシフト」。ITを活用しながら対内・対外とつながり、課題に向き合い、解決することが重要です。仕組みを作り、組織に浸透させていきましょう。

社会の変化とそれに伴う技術の革新によって、アフターコロナの時代には、まちの活力を飛躍的に向上させることができます。まちの活力を高め、山口の未来を明るいものにするためのチャンスが、今、まさに訪れています。

多様性社会の中で生きる

コロナウイルス感染症拡大で今まで当然としてきた前提が崩れました。社会では、働き方の変化が強く求められ、組織人として創意工夫と柔軟性が試されています。この先の読めない時代や環境下において求められているのは、崩れた前提下で組織人として何ができるか。多方面からの知恵やアイデアを集約し、工夫をこらさなければ生き残れません。ダイバーシティ社会において、多様性を認め、多様な人材が活躍できる組織・社会をつくることが必要不可欠です。

また、ダイバーシティ推進は業務を向上させる手法の一つでもあり、持続可能な事業運営に必要不可欠とされています。少子高齢化により、労働力が減少傾向にあるため、人材確保の手法ともされています。多様な価値観をもった、より多くの青年の協力を得ることができれば、まちづくりに対して大きなアプローチが可能です。限られた人的資源の中で最大限の効果を発揮していく必要があります。

多様性を含む団体・企業はそうでない団体・企業と比べ、優れた業績を高い確率で達成するというデータがあります。日本国内におけるダイバーシティは、女性活躍推進の他にも多様な性・年代・国籍・働き方・特性・障がい・制約・価値観を持つ人が該当します。「属性」を越え、「個」を見るダイバーシティの普及・浸透をはかる段階へ着実に進んでいます。多様性社会の中で、お互いを尊重し、それぞれの立場で考えていきます。

真の友情を育み、一枚岩に

コロナ禍や世界情勢は、今まで以上に個人間・地域間・企業間の連携や協力体制を促進し、その重要性を改めて認識する大きなきっかけとなりました。デジタル化が推進されたことで対面での事業が減り、コミュニケーションの場が減少し、組織内の意思疎通やモチベーションを維持することが難しくなりました。組織内のコミュニケーションを活性化させ、組織の一体感の醸成や会員のモチベーション向上、組織内の意思疎通を円滑にしていく必要があります。

私たちは同じ志を抱き集まった仲間であり、ともに活動している運命共同体です。そこには大きな意義がありますが、真の友情を育むことでその意義はさらに大きくなります。コロナ禍で友情を育む機会が失われつつありますが、多様な価値観や手法があるなかで、時代に即したコミュニケーション事業を行うことが必要となります。真の友情を育むことで、さらなる一枚岩の組織となり、さらに強固で活力漲る組織を作ります。

高い目標とビジョン

JCマンとして、社会人として、単純に「かっこよくありたい。」それは誰しもが思うことではないだろうか。設定の低い目標を達成してもそこには達成感もなければ、誰かに認められることもありません。少しでも高い目標を立てるべきです。目標が高いほど挑戦のしがいがあり、やり遂げたときの達成感が多いのは間違いありません。そして何よりかっこいい。高い目標を立て、ビジョンを描こう。ビジョンを描くことで、今までとは全く別の方法を考えることになります。個人で目標を成し遂げられそうにないとき、仲間を巻き込み組織を動かさなければなりません。時には、組織の垣根を越えなければならないこともあるだろう。

目標達成するためにはどうするか。皆で考え抜き、それを実現するための発想を捻り出そう。できない理由をならべるのではなく、成し遂げるためにどうするか。今までとは違う、青年らしい新しい発想で偉業を成し遂げよう。

新たな変化の時代。シフト。ともに創ろう!

大学時代、アメリカ留学とバック一つで世界旅行をしました。海外経験を通じ、日本と世界の価値観に大きな違いがあったのを今でも憶えています。日本人は、島国育ち、故に内向的、閉鎖的なパーソナリティーを持っています。小さい頃、「迷惑をかけないで生きろ」と言われたことはないでしょうか。多くの方が「迷惑をかけずに生きろ」と教育されてきたと思いますが、その結果、行動に制限がかけられ、引っ込み思案になる傾向にあります。日本には周りを気にしすぎて、チャレンジができない人たちが多いように思います。

海外に出る前の私も典型的な日本人で、内向的で、常に周りの目を気にして生きてきました。しかし欧米諸国は違いました。「迷惑をかけずに生きなさい」ではなく「迷惑をかけるのはあたりまえ。迷惑をかけられた時にそれを許せるような広い心をもって生きろ」と教えられます。周りを気にしすぎて、自分のやってみたいことができてない人たちが多いと思います。自分のやりたいことをやり、自分の言いたいことを本気で言い、多くの議論を積み重ねていきたいと思います。

新たな変化の時代の到来。果敢に挑戦。引っ込み思案にならず、青年らしい発想でどんどんチャレンジしよう。シフトには挑戦が付き物。小さな目標は必要ない。少しでも大きな目標を立てよう。見栄を張ってもいい。失敗しても、迷惑をかけてもいい。そして全力で皆で助け合おう。小さな目標を達成してもまちは変わらない。私たちはまちをつくる青年団体。未来に不安を抱えるのではなく過去に後悔をするのでもなく、今にわくわくするような生き方をしよう。皆でまちを大きく変えよう。皆で一歩先の山口青年会議所にしよう。未来を拓くのは私たち。ともに創ろう!新しい時代を。

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