理事長所信

山口青年会議所 第70代理事長 真庭孝雄

好きです、やまぐち

創立70周年を迎えて

1949年9月3日、新日本の建設は我々青年の仕事である、という強い思いのもと日本の青年会議所運動が東京の地で産声を上げた。
その思いは瞬く間に全国へと広がり、1956年4月17日、21名の志高き青年により山口青年会議所が創立され、本年70周年を迎える。

70年という長きにわたり活動を続けられてきたのは、先人たちが変わりゆく社会課題に真摯に向き合い、己を捨てて山口のまちのため、人のために行動し、地域のリーダーとしての責任を果たしてきたからこそに他ならない。
その積み重なった地域の人たちからの信頼があるからこそ、今を生きる私たち現役メンバーも自信を持って青年会議所活動を行うことができる。

節目の年を迎える私たちは、今一度先代たちの「明るい豊かな社会の実現」という強い願いと、「自らが地域のリーダーたらん」という熱い志を改めて認識し、山口のため行動を起こしていかなくてはならない。

魅力ある山口のリーダーとなる

昨今の全国の青年会議所会員の減少は留まるところを知らず、それに伴う事業への疲弊感、そしてそれにより拡大が上手くいかないというネガティブなサイクルに陥っている青年会議所が多くあると聞く。
当青年会議所は近年順調に会員数増加を続けてきているものの、会員の約4割が向こう3年で卒会する見通しとなっており、会員拡大は喫緊の課題である。

数多ある青年経済団体の中で青年会議所を選んでもらうためには、我々がまず魅力ある人財となり「あの人がいるなら入ろう」と思ってもらうことが重要だ。その「あの人」を多く育て上げるためにも、本年はメンバーの更なる会員意識の高揚をはかり、内部の人間だけで完結することなく、山口のまだ見ぬ未来のリーダーととことん交流し、会員拡大を推し進めていく1年とする。
会員意識の高揚と会員拡大こそ、対外事業の根本である。

心に届く広報を

近年山口青年会議所はブランディング力の強化に努め、SNSの継続的かつ魅力ある記事の発信や各種報道機関との密なる連携にともない、確実に広報力を強めてきたといえる。
実際にあらゆる場所で全くJCと関係ない人から、「あの記事見たよ」「JCさん、またニュースに流れとったねぇ」と、嬉しい声を聞くことが多くなった。

これもひとえに過去70年にわたる諸先輩方の弛まぬ努力の継続の上に、昨今の様々な広報手段の効果的な活用が加わった結果といえ、本当にありがたいことと思う。
さぁ、この広報力を次の段階に進める時である。

我々の組織や活動を知ってくれた人は増えた、次は我々に興味を持ち、そして行動を起こしてくれる人を増やす広報をしていかねばならない。
そのためには通り一辺倒な発信ではなく、運動や事業に対するメンバーの熱い思い、会員一人ひとりのJCに対する意気込みなど「感情」を効果的に伝え、見る人の心に届ける必要がある。

そうすることで、私たちに協力してくれる人が増え、ひいては会員拡大へと繋がっていく。

未来の山口をデザインする

人口流出、高齢化、文化の後継者不足、雇用の減少など、山口市の課題は数多く残されている。
また、日本全体が抱える災害対策への不安や貧困層の増加、それに伴う教育格差、デジタル環境の脆弱性などの問題も決して他人事ではない。

これらの社会課題を私たちは他に先駆けて発見・研究し、未来を見据えた解決策を思考し行動を起こしていかなくてはならない。私たちは社会課題解決のプロではない。
であるからこそ、私たちは常に最新の情報を学び、青年らしい柔軟な発想を持って英知を結集し、有識者や行政・企業の話を聞きより良い解決策を見出し、様々なパートナーを巻き込んで共に運動を起こしていく。
これが青年会議所だからこそできる社会課題解決の手法である。

昨年、38年ぶりに中国地区コンファレンスを主管した私たちは、中国地区を中心に全国の青年会議所の仲間、そしてまちの人々と繋がりを持つことができた。
更に事業構築を通して会員一人ひとりが貴重な発展と成長の機会をいただいた。

この経験とこれまでの諸先輩方が紡がれた地域との連携をもとに、未来の山口のまちのため人のため共感を伴う運動を展開していく。

未来の山口のリーダーのために

地方は人口減少にあえいでいるとよく聞く。
しかし、2023年の山口県の合計特殊出生率は全国10位の1.40なのに対し、東京都は全国最下位の0.99。他も都市圏より地方の方が高い傾向にある。
つまり世帯だけでみると、子だくさんの家庭は都会よりも田舎の方が多いということである。
ではなぜ地方は人口が減り続けるのか。都会に憧れ故郷を去る若者が多いということに他ならない。

きらびやかな都会に憧れるのは仕方ない、しかし故郷への愛を失ってしまえば、その子は一生故郷に帰ってこなくなるかもしれない。
今山口市の青少年が抱える諸問題を調査し、子供たちと共に運動を展開していく。
そしてその運動の思い出は子供たちの心の奥にしっかりと刻み込まれ、それは山口に対する深い愛へと変わり、将来の山口のリーダーたらんとする情熱へと昇華していくことだろう。

国際交流の根幹

グローバルな視点を持つ、ということは自らのことをよく学びよく理解する、ということと同じである。

私が小学4年生の時、山口JCの事業で阪神淡路大震災の被災者の子供たちと山口市内の子供たちとでキャンプをしたことがあった。
その際、私は神戸に住む中国人の同い年の子とペアを組み、一晩を共にした。
日本語も流暢に話すその子は、自分の生まれた国や故郷の歴史や文化、言語などをたくさん教えてくれた。
とても学びになったし、何より楽しかった。
しかし、私は何も山口のことを教えてあげられなかった。
とても悔しい思いをし、そこから社会科の授業の郷土の歴史に興味が沸くきっかけとなった。

その子とはそれっきりだが、もし再会できたらあの時の恩返しをしたいと思っている。
コロナ禍も終わりを迎え、人々の移動が活発となった今、国際化の波に飲み込まれないよう再び積極的に日本を飛び出し、経験を積む必要がある。
それは子供たちも我々大人たちも同じだ。

そして海外の文化に触れ、異国の人々と交流することにより、改めて日本人としての自覚が芽生えることとなる。山口を愛することとなる。

私たちの使命 -好きです、やまぐち-

近人類への奉仕が人生最大の使命である。その使命を自覚し行動に移すことこそが、リーダーシップの開発と成長の一番の機会だと、私は信じている。

好きです、やまぐち。

当たり前過ぎて口にすることが恥ずかしくなるかもしれない。しかし当たり前のことだからこそ、その言葉には強い力が宿る。
自分のためではなく本気で山口のために行動できる人が何人いるだろうか。

山口青年会議所は70年ものあいだ、山口の人のため、まちのため、未来のために行動を起こしてきたリーダーを数多く輩出してきた。次は私たちの番である。
仕事の種類が大きく変容し、多種多様な人たちが活躍できる現代だからこそ、求められるリーダーがある。変化に柔軟に対応し、多くの人々と運動を共創し巻き込みながら、「やまぐちが好きだ」という確固たる思いを持ち牽引していく存在だ。
その存在になるために、青年会議所がある。

周年を迎える本年、改めて先人たちの故郷に懸ける思いを継承し、胸を張って「やまぐちが好きだ」と言えるリーダーを多く輩出する組織となることを約束する。

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